会長 黒岩 芳彦
近年、「多様性」という言葉が広まり、性別や年齢、価値観、障がいの有無など、一人ひとりの違いを認め合う社会が目指されています。しかし、パーキンソン病患者である私たちは、なぜ今も生きにくさを感じるのでしょうか。
その答えは社会の中だけではないのかと思います。実は同じ病気を持つ私たち自身の中にも、「多様性」の問題が存在します。発症年齢、症状の出方、進行の速さ、薬の効き方、家庭や仕事の状況など、同じ「パーキンソン病」という診断名を持っていても、その実態は一人ひとりまったく異なります。共通しているのは「病名」だけかもしれません。
もちろん、進行性の脳神経疾患という共通の土台があるからこそ、私たちは互いの経験を語り合うことができます。友の会の存在意義はまさにそこにあります。しかし同時に、「同じ病気だから分かり合える」という思い込みが、時に私たちを苦しめることもあります。良かれと思って自分の工夫を勧めたり、自分の辛さを基準に相手の辛さを推し量ったりする——そうした小さなすれ違いが、孤立感を生むこともあるのではないでしょうか。社会に「多様性を認めてほしい」「パーキンソン病を知って欲しい」と願うなら、まず私たち自身が隣の仲間の「違い」を丁寧に受け止める姿勢を持つ必要があると思います。友の会がどうあるべきか、答えはシンプルです。自分のことを押し付けず、相手を理解しようとすること。同じ病名だからこそ分かり合える部分と、まったく異なる部分——その両方を認め合うこと。それこそが、友の会が本当の意味で「多様性」を実現する道だと思います。
一人ひとりの違いを大切にしながら、同じ空の下で支え合っていく。そんな友の会を、これからも一緒につくっていきたいと思います。