会長 黒岩芳彦
年の瀬からお正月にかけて私たちの周りの風景は、この数年で本当に大きく様変わりしました。かつての年末年始といえば、商店街のシャッターが下り、街全体が静かな風景に包まれていました。新年の挨拶は年賀ハガキで、郵便配達の方々が忙しく駆け回る姿が風物詩でした。今はどうでしょうか。年賀ハガキはLINEやEメールに代わり、郵便受けの年賀状の束は薄くなりました。元旦から大型ショッピングセンターや商業施設が営業し、そこには「静寂」とはかけ離れた活気であふれています。
このように「時の流れ」は、ゆっくりと、あるいはあっという間に、自然で当たり前のこととして私たちの世界を変えていきます。社会の仕組みも、人々の生活様式も、絶えず変化し続けているのです。私たちが向き合っている病気や、それを取り巻く環境も、この「時の流れ」と同じように、常に変化しています。それは、病状そのものの変化かもしれませんし、治療法の進歩かもしれません。そして、最も身近な変化は、他でもない「自分自身の変化」です。心身の状態、生活のリズムも変化し続けています。
過去を振り返り「あの頃は良かった」と羨んだり、必要以上に「これからどうなるのだろう」と未来に不安を感じたりすることは、誰にでもある感情です。しかし、私たちが最も見つめるべきは、過去でも未来でもなく、「生きている今」です。変化の激しい「時の流れ」にただ巻き込まれてしまうと、本当に大切なことを見失いがちになります。だからこそ、今、少し立ち止まってみてください。この一年を振り返り、「自分自身の変化」を静かに見つめ直してみましょう。病気と共に歩む道のりは、決して平坦ではありません。あなたは今日まで様々な困難を乗り越え、懸命に生きてきました。どうか、ご自身に優しく、そして力強い言葉をかけてあげてください。
「この一年、本当によく頑張って生きてきたね」
自分自身を心から褒めて、労うことから、新しい一歩は始まります。